大河川の河口など、汽水域の密生したヨシ原の中でひっそりと暮らすヒヌマイトトンボ。
そのような環境の多くは埋め立てや護岸工事などで失われ、各地で代替地の造成や飼育舎での繁殖などが行われていますが、非常に特殊な環境に生息する本種の生存を人為的な環境で永続的に維持することは困難と思われます。
そもそも本来の特殊な自然環境(汽水域のヨシ原)が残されることが重要であって、人為的に本種を生存させることが目的ではないはずです(もちろん種としての絶滅は絶対にあってはなりませんが…)。
この写真は、ヨシ原の薄暗い中、何とか自然光できれいな写真を撮りたいと汗だくになりながら三脚担いで撮影した思い出の一枚です。
その後、残念ながらこの生息地は河川改修により消失しました。
埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)によると、「県内でこれまでに知られる生息地はこの1 ヶ所のみで、当地の自然個体群が最後に確認されたのは 1998 年 7 月と思われる(建設省江戸川工事事務所,1999)」とありますので、正式な記録ではありませんがこの写真が当地での最後の一枚となってしまったのでしょうか。