2024年1月、ソニーからα9IIIが発売されました。
グローバルシャッターを民生機に搭載した、世界初のフルサイズミラーレス一眼カメラです。
従来機の電子シャッターは、画面をスキャンするように読み込むため動きの速い被写体はローリングシャッター現象による歪みが発生(機械式のフォーカルプレーンシャッターも目立たないが発生)しますが、α9IIIのグローバルシャッターは全画素を一括で読み込むためこの歪みが全く発生しません。
また、フラッシュは全速度で同調可能であり、同調速度の制限から解放されたことも昆虫撮影にとって特筆すべきことです。
動体の瞬間を記録する写真にシャッター歪みが全くないということは、昆虫写真のような自然科学の分野においても大きな意義があり、それを民生機で実現したこのカメラはまさに革新と言えるでしょう。
トンボの飛翔写真における翅の歪みは、これまでも業務用の高速カメラの映像などで見ていますし、従来のカメラでもシャッター歪みが目立たない範囲では見ていますので特段の新鮮さはありませんが、こうして自分のカメラでその動きを正確な(シャッター歪みがない)歪みとして撮ることができることに喜びと価値を感じるのです。
AF性能は、私は他社機やソニーフラッグシップ機のα1は所有していないため比較はできませんが、リュウキュウトンボくらいのホバリングは問題ないのは当然として、さすがに体の向きを縦に変えて急旋回するような瞬間的な動きまでは追えません。
私の場合、AFの追従性よりも、α7RV(つまりソニー機第5世代)から搭載されたAIプロセッシングユニットによる「昆虫」の被写体認識や、フルタイムDMF(AF-CでもMF操作が可能)による操作性向上の恩恵が大きいと感じます。
特にフルタイムDMFの機能は、最近の新しい望遠レンズにはレンズ側に搭載されていますが、私がメインで使用している100400GM(2017年発売)のような設計の古いレンズには搭載されていないため、カメラ側に搭載されたことで古いレンズでもフルタイムDMFが行えるようになりました。
MFである程度ピントを合わせたら被写体認識でトンボを捉えさせ、AF-Cで追いながらシャッターを切ることができるのです。
グローバルシャッターによる120コマ/秒・AF/AE追随・フラッシュ全速同調が、これらの機能と組み合わされたことで、私のような者でも飛翔写真が狙いやすくなったことは間違いないでしょう。
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